教育訓練給付金でプログラミング・英会話スクールを選ぶ手順【2026年10月版】

階段と本、ノートパソコンを組み合わせた学び直しの抽象イラスト

スクールの受講料に教育訓練給付金を使えるかどうかは、スクール単位ではなく講座単位で決まります。同じスクールでも対象の講座と対象外の講座があり、給付率は講座の区分(専門実践・特定一般・一般の3区分。次の節で説明)で20〜80%と大きく違います。専門実践と特定一般の講座では、受講開始日の2週間前までにハローワークで手続きを済ませる必要があります1。

この記事では厚生労働省の資料と各スクールの公式ページを2026年10月19日に読み、次の順で整理しました(併用不可のFAQなどは2026年10月20日に追加で確認)。

  1. 給付金の3つの区分と給付率
  2. 2026年10月1日に入れ替わった対象講座
  3. 検索と公式ページで確かめたスクール4校・講座5件
  4. 受講前の手続きと、給付の対象にならないお金
  5. 経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」との違い
  6. 契約前に読む解約の条件

給付率は講座の区分で決まる

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を修了したときに、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です2。対象の講座は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3つに分かれています。

区分 基本の給付 追加の給付(条件を満たした場合) 受講開始日時点の雇用保険の加入期間
専門実践教育訓練 受講費用の50%(年間上限40万円)を受講中に6か月ごと2 資格取得等をして就職・在職すると70%(年間上限56万円)。さらに賃金が受講前より5%以上上がると80%(年間上限64万円)21 3年以上。初めて受給する人は2年以上1
特定一般教育訓練 受講費用の40%(上限20万円)を修了後に2 資格取得等をして就職・在職すると50%(上限25万円)21 3年以上。初めて受給する人は1年以上1
一般教育訓練 受講費用の20%(上限10万円)を修了後に2 なし 3年以上。初めて受給する人は1年以上1

※給付率と上限は2026年10月19日に厚生労働省とハローワークインターネットサービスのページで確認しました。追加の給付と賃金上昇による給付は、2024年10月1日以降に受講を始めた場合が対象です1。

どの区分でも共通する条件がいくつかあります。受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けていると支給されません。離職した人は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが必要です。計算した給付額が4千円を超えないときも支給されません1。

2026年10月1日に対象講座が入れ替わった

厚生労働省は2026年8月6日に、10月1日付けで指定する講座を公表しました。専門実践教育訓練は新規に138講座が加わり、10月1日時点の対象は3,485講座です。このうち、AIやデータ分析などのデジタル分野を扱う「第四次産業革命スキル習得講座等」は441講座あります3。特定一般教育訓練は新規151講座が加わって1,532講座になりました4。

講座の指定には期間があります。厚生労働省の検索システムは、受講開始日がその講座の指定期間に入っているかを、ハローワークと受講先のスクールに確かめるよう案内しています5。以前に調べて対象だった講座でも、申し込む前にもう一度調べ直すのが確実です。

検索と公式ページで確かめたスクール4校・講座5件

講座が対象かどうかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で調べられます5。ログインは要りません。スクール名や講座名で検索すると、講座ごとに区分、実施方法、訓練期間、訓練経費などが表示されます。指定期間や指定番号は、各講座の「詳細を見る」で申し込み直前に確かめてください。詳細ページは取得できておらず、指定期間と指定番号は書いていません。

給付の計算の基になるのは、ハローワークが認めた教育訓練経費(本人が支払った対象費用)です1。スクール表示の受講料がそのまま経費になるとは限りません。下の表はプログラミングスクール2校と英会話スクール2校(あわせて講座5件)について、検索で見た結果を筆者の言葉で要約し、金額は各スクールの公式ページだけを載せたものです。検索システムに載る区分や期間の列をそのまま写したものではありません。スクールの良し悪しを比べる表でもありません。

講座 筆者の確認メモ(2026年10月19日) 公式ページの受講料表示 試算の注意
テックキャンプ エンジニア 短期集中スタイル オンラインプラン 検索では専門実践・eラーニングとして表示。区分・指定期間は検索システムで確認5 657,800円(税込・一括)6 公式の「最大」給付は条件をすべて満たしたときの額7。80%まで受けた場合の試算は526,240円
テックキャンプ エンジニア 夜間・休日スタイル オンラインプラン 同上5 877,800円(税込・一括)6 80%だと702,240円だが、年間上限は640,000円7
RUNTEQ Web開発スタンダードコース 検索では専門実践・eラーニングとして表示。区分・指定期間は検索システムで確認5 657,000円(税込・一括)8 公式の最大給付525,600円は条件をすべて満たしたときの額8
ベルリッツ ビジネス英会話Iプライベート(マンツーマン80レッスン) 検索では一般教育訓練・通学として表示。区分・指定期間は検索システムで確認5 763,400円(税込。入学金・授業料・教材費の合計。支払い方法などで変動)9 一般は20%だが上限100,000円
トライズ スピーキング本科(12か月) 検索では一般教育訓練・通学として表示。区分・指定期間は検索システムで確認5。検索に載る訓練経費は1,753,400円(令和8年10月1日時点の掲載。2026年10月20日にも再表示を確認)5 特別割引適用後の表示: 961,400円〜(税込。最安プラン。受講月数やレッスン回数で変動)10 公式の割引後額を訓練経費とみなさない。一般の上限は100,000円。実際の経費は割引後・本人負担分をハローワークが判断11

試算は給付率を掛けて上限で打ち切っただけの計算です。実際の支給額は、ハローワークが認めた経費と、本人の受給資格で決まります。専門実践の80%は資格取得等と就職・在職に加えて、賃金が5%以上上がった場合の数字です1。条件を満たさないと、基本の50%(年間上限40万円)にとどまります。テックキャンプとRUNTEQの公式ページにある「最大」の給付額や「実質」の負担額も、この条件をすべて満たした場合の金額です78。

表を作る途中で、気づいた点が3つありました。

  • トライズの12か月コースでは検索システムに載る訓練経費(1,753,400円)と、公式の特別割引適用後の最安表示(961,400円〜)が違います510。検索の金額は指定時に届け出た訓練経費、公式の961,400円〜は特別割引適用後の最安表示です。トライズは割引キャンペーンで割り引かれた分を給付の対象外だとしています11。試算の基にするのは自分が実際に払う額であり、表の公式割引額をそのまま訓練経費とみなさないでください。申し込み前にスクールとハローワークへ確かめてください。
  • テックキャンプの公式ページは短期集中スタイルの通学プラン(712,800円・税込)にも給付金適用後の金額を載せています6。ただし、今回の検索で表示されたのはオンラインプラン2講座だけでした。通学プランが対象かは確かめられていません。
  • RUNTEQは、Python×AIコースは専門実践教育訓練給付制度の対象外だと明記しています8。トライズも、レッスン特化コースは対象外で、給付を使えるのはレッスン週3回のプランだとしています11。同じスクールの中でも、対象の講座とプランは限られます。

分割払いの扱いもスクールの説明で確かめておきたい点です。テックキャンプは、分割払いでも給付制度は使えるが、教育訓練経費になるのは受講修了時点または就職が決まって給付を申請する時点までに支払い済みの金額だと説明しています7。RUNTEQは3〜24回の分割払いを用意しており、回数ごとの月額は公式の料金ページの表で確かめられます8。

受講前の手続きは2週間前が期限

専門実践と特定一般の講座では、受講を始める前の手続きが欠かせません。ハローワークの案内によると、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けて、就業の目標などを書いた「ジョブ・カード」の交付を受けます。そのうえで、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きをします1。キャリアコンサルティングを受ける日も含めて、申し込みたい開講日から逆算して動く必要があります。

一般教育訓練には、この事前手続きはありません。それでも、受講開始日時点で受給資格があるかと、その講座が指定を受けているかは、「教育訓練給付金支給要件照会票」をハローワークに出して事前に照会できます。電話での照会は受け付けていません1。

支給の申請にも期限があります。

  • 専門実践: 受講開始日から6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内(修了日のある期間は修了日の翌日から1か月以内)に申請する。70%と80%の追加分はそれぞれ別に申請する1
  • 特定一般・一般: 修了日の翌日から1か月以内に申請する1

テックキャンプのよくある質問は、手続きを「受講開始日の1ヶ月前までに」と書いています7。これはスクール側の案内(余裕を見た締切)です。制度上、専門実践・特定一般の受給資格確認は、ハローワークの案内どおり受講開始日の2週間前までです1。RUNTEQの料金ページも「2週間前まで」と制度側に揃えています8。期限の判断はハローワークに合わせ、スクールにも余裕のある日程を確かめてください。

給付の対象にならないお金

給付の対象は、受講する本人が自分の名義で支払った費用です。トライズとベルリッツは、会社が補助した分は対象にならず、本人が負担した額だけが対象になると案内しています911。RUNTEQも制度を使うには個人名義で申し込み、受講料を振り込む必要があるとしています8。

修了の条件を満たすことも必要です。トライズは12か月のスピーキング本科で修了時点に800時間以上の学習時間、6か月で400時間以上などの修了認定基準を示しています11。ベルリッツは、修了時に一定のレベルに達していることが条件だと説明しています9。受講料を払っても、修了できなければ給付は受けられません。

経済産業省の支援事業は「転職すること」が前提

学び直しの費用を下げる仕組みには、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」もあります。こちらは国が個人に給付するのではなく、事業に採択された補助事業者に補助金が出て、受講者はその分だけ安い価格で講座を受ける形です12。

項目 教育訓練給付金 リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
誰にお金が出るか 受講者本人(ハローワークから)2 補助事業者(受講者は負担が軽くなった価格で受講)12
対象者 雇用保険の加入期間などの要件を満たす人(在職者・離職後1年以内の人)1 サービス登録時と初回面談時に在職中で、雇用主が変わる転職を目指す人12
補助・給付の大きさ 講座の区分により20〜80%2 講座修了で受講費用(税別)の1/2(上限40万円)。補助事業の職業紹介などで転職し、1年間続けて働くと追加で1/5(上限16万円)12
セットになる支援 なし(講座の受講のみ) キャリア相談と転職支援(無料)、講座受講12
期限 講座ごとの指定期間内に受講を開始5 個人への支援の終期は令和8年度末(2027年3月末)13

本事業の支援を受ける場合は、教育訓練給付金のように国が支出する趣旨を同じくする他の制度とは併用できません。事業のFAQはこう答えたうえで、補助事業者は教育訓練修了証明書など他制度の証明書を発行してはいけないとしています14。

経済産業省の事業でいう「転職」は、補助事業で行われた職業紹介による転職か、転職支援をする職業紹介事業者が自社で雇用する場合に限られます12。自分で見つけた会社に転職した場合は、追加の1/5の対象になりません。転職を予定していない人は、この事業の対象になりません。

事業者の公募は六次公募で終わっています13。受け付けを続けている講座があるか、いつまで申し込めるかは事業の公式サイトの「補助事業者を調べる」から各事業者に問い合わせて確かめることになります12。

契約前に解約の条件を読む

英会話スクールの契約は期間と金額の条件を満たすと特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たります。消費者庁の説明では、語学教室は期間が2か月を超え、入学金や教材費を含む契約金の総額が5万円を超える契約が対象で、インターネットを使ったレッスンも含まれます15。

対象の契約では法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面か電磁的記録でクーリング・オフができます。8日を過ぎても中途解約はでき、スクールが請求できる額には上限があります。語学教室の場合、受講開始前の解約なら1万5千円までです。開始後なら、受けたレッスンの対価に加えて、5万円か契約残額の20%の低いほうまでです15。

プログラミングスクールは扱いが講座の内容で分かれます。消費者庁の解説によると、「パソコン教室」(電子計算機の操作に関する知識や技術の教授)と一体不可分の講座なら全体が規制の対象になります。他の知識を教える部分を明確に分けられるなら、パソコンの操作を教える部分だけが対象になります16。申し込む講座が対象かは、契約前に渡される概要書面や契約書面に、クーリング・オフと中途解約の記載があるかで確かめられます15。

法律とは別に、スクールが独自の返金制度を設けていることもあります。テックキャンプは学習開始から14日以内なら受講料を返金するとしており、事務手数料55,000円(税込)は除かれます6。トライズは受講開始から1か月以内に退会すれば全額返金するとしています10。細かな条件はどちらも利用規約などに書かれているので、申し込み前に読んでおく必要があります。

「給付金があるから今すぐ」と急がせる勧誘に注意

厚生労働省は教育訓練給付制度をうたった不適正な勧誘に注意するよう呼びかけています17。資料に挙がっている手口は次のようなものです。

  • 「厚生労働省指定会社」「厚生労働省から委託を受けている」と名乗る
  • 「申請期限が迫っている」「給付金の枠が残りわずか」と急がせ、その場で契約させる
  • 「申し込めば受講しなくてもよい」「先に給付金がもらえる」と説明する

厚生労働省が指定しているのは講座で、会社ではありません。「指定教育訓練施設(会社)」という仕組みはなく、給付金が申し込みの時点で先に支給されることもありません17。こうした業者に関わって申請すると、申請した本人が不正受給として返還などの処分を受ける可能性があると、資料は注意しています17。

スクールを選ぶときは、まずハローワークで自分の受給資格を照会し、次に検索システムで講座の区分と指定期間を調べる順番が確実です。筆者は給付率の高さよりも先に、修了の条件と解約の条件を確かめておくほうがよいと考えています。修了できなければ給付は受けられず、途中でやめれば解約の費用がかかるためです。

脚注

  1. ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15 ↩16

  2. 厚生労働省「教育訓練給付金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8

  3. 厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」2026年8月6日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75305.html (2026年10月19日確認) ↩

  4. 厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75309.html (2026年10月19日確認) ↩

  5. 厚生労働省「教育訓練講座検索システム」 https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/ (掲載情報は令和8年10月1日時点。2026年10月19日に「テックキャンプ」「RUNTEQ」「ベルリッツ」「トライズ」で検索。トライズの訓練経費1,753,400円は2026年10月20日にも再表示を確認。利用上の注意4は営利・営業等を目的とする編集加工・転載・再配布を禁じる) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10

  6. テックキャンプ「受講料とサポート体制」 https://tech-camp.in/expert/tuition (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  7. テックキャンプ「専門実践教育訓練給付制度」 https://tech-camp.in/expert/grant (2026年10月19日確認。FAQの「1ヶ月前」は2026年10月20日に再確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  8. RUNTEQ「料金」 https://runteq.jp/plan (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  9. ベルリッツ「一般教育訓練給付制度」 https://www.berlitz.com/ja-jp/benefit (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3

  10. トライズ「コース内容・料金」 https://toraiz.jp/price.html (2026年10月19日確認。特別割引適用・最安プランの注記は2026年10月20日に再確認) ↩ ↩2 ↩3

  11. トライズ「教育訓練給付制度」 https://toraiz.jp/bene/ (2026年10月19日確認。割引分が対象外である点は2026年10月20日に再確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  12. リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業「転職をご検討の方」 https://careerup.reskilling.go.jp/worker/ (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7

  13. リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業「申請をご検討の事業者」 https://careerup.reskilling.go.jp/business/ (2026年10月19日確認) ↩ ↩2

  14. リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 FAQ No.148「個人は、教育訓練給付金等の別の支援策と併用はできるのか。」 https://careerup.reskilling.go.jp/assets/files/business/faq.pdf (2026年10月20日確認。回答: 国が支出する趣旨を同じくする他の制度との併用はできない) ↩

  15. 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/ (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3

  16. 消費者庁「特定商取引に関する法律の解説(令和7年6月1日時点版)第4章 特定継続的役務提供」 https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20250601la03_08.pdf (2026年10月19日確認) ↩

  17. 厚生労働省「教育訓練給付制度に関する不適正な勧誘にご注意ください」 https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/pdf/kanyuchui.pdf (2026年10月19日確認) ↩ ↩2 ↩3